【離婚】~離婚原因4(別居について)
離婚について~離婚原因4(別居について)
前回のテーマ「悪意の遺棄」に関連して、
今回は、「別居」に関する問題をいくつか取り上げてみたいと思います。
よく「自分から家を出ると、あとで不利になることはありませんか?」
という質問を受けるのですが、一概に不利になるとはいえません。
たしかに、夫婦には同居義務がありますので、一方的に家を出てしまうのは、
「悪意の遺棄」といわれてしまう可能性はあります。
ただ、別居に「正当な理由」があれば、悪意の遺棄とはいえませんので、
たとえば、DVに耐えかねて相手の留守中に家を出たとしても
「悪意の遺棄」とはいえないでしょう。
また、夫婦の関係が完全に破綻した後の別居開始であれば、
「悪意の遺棄」にはあたらないでしょう。
ただ、この場合「破綻していたかどうか」が争点にはなると思いますが…。
「自分から家を出ても生活費を請求できますか?」という質問もよく受けます。
これは、生活費の請求を受けた側(家を出て行かれた側)からは
「自分から出て行ったくせに生活費を要求するなんておかしいのでは?!」
という質問になります。
答えは、
「請求できます。」「生活費を払う義務はあります。」
別居していても、法律的に夫婦であることには変わりはないので、
相応の生活費を負担する義務は生じます。
これを「婚姻費用分担義務」と呼びます。
まずは、話し合いで金額や支払方法について決めていくことになりますが、
話し合いがうまくいかなければ、家庭裁判所に
「調停」もしくは「審判」を申立てることができます。
これらの手続きを利用すれば、お互いの収入に照らして
相応の金額を決めてもらうことができます。
裁判所では、金額を算出するための「算定表」を用いて
金額を決めていくのですが、この方法では、
個別具体的な事情を考慮することが難しい(希望の金額で決めてもらえるとは限らない)、
というデメリットもありますが、
比較的短時間で結論を得ることができるというメリットもあります。
別居後の住所を相手に知られたくない場合は、どうしたらよいのでしょうか。
DVの被害者等は、申出によって住民票の閲覧を制限してもらう
という手続きをとることができます。
(詳しい手続きについては、最寄りの役場におたずね下さい。)
ただ、何らかの手違いで情報が流出するという可能性もありますので、
どうしても相手に住所を知られたくなければ、
しばらくは住民票は移さずに様子をみたほうがいいでしょう。
次回も、「別居」にまつわる問題を取り上げたいと思います。
湘南茅ヶ崎法律事務所では、女性限定で、