判例速報ー親の責任

報道などでご存じの方も多いと思いますが、昨日、「子供の起こした事故に関する親の責任」について最高裁が判決を出し、法曹界でも注目されています指
事案としては、こうです。
放課後、当時11歳だった男の子がサッカーボールをゴールに向かって蹴ったところ、ボールが学校脇の道路に飛び出してしまった。そこをバイクで通りかかった80代の男性が、ボールをよけようとして転倒し、約1年半後に死亡した。
男性の遺族が賠償責任を求めて遺族を提訴した、というものです。

リラックマVer.2 皆様はどうお考えですか?
民法714条は、
①民事上の責任がないとされる子供が他人に損害を加えた場合、その監督者(親)が賠償する責任を負う。
②ただし、監督義務者(親)が監督の義務を怠らなかったとき等の場合、親は責任を負わない。
とされています。
実際には、②親がきちんと監督していたという点が認められ難いのが実情です。
しかし、今回の最高裁判例は、「直接的な監視下にない子の行動について、親は予想できない事故にまで賠償責任はない。」として2審判決を破棄し、遺族の訴えを退けたのです。
今後の流れも変える判決ではないかと注目されていますきらきら
ただし、親が子供を適切に監督しなければならないことに変わりはありません。
今回は、「校庭でゴールに向かってボールを蹴る」という行為だったので、「日常的な行為で人に危険が及ぶ行為とはいえない」とされたのです。
これが道路でのボール遊びだったらどうなのか、柵のない庭だったらどうなのか、判断は別になる可能性があります。
子供が他人に損害を与えることなど親は望んでいません。
子供が他人に損害を与えた場合の賠償に備えた保険なども備えの一つになるのではないでしょうか四葉のクローバー
 

自己破産とブラックリストについて

カードやキャッシングの利用が重なり、いつの間にか支払えないことに。。
というご相談もよく受けますクローバー
自己破産を検討せざるを得ない状況でも、いわゆる「ブラックリストに載ること」を気にされて躊躇する方もいらっしゃいます。
特に女性は、「家族の情報までブラックリストに載せられるのではないか。」「将来子供まで載せられるのではないか。」と心配されることがあるようですDocomo88
 
指「ブラックリスト」、つまり破産した方だけを載せた名簿のようなものは金融業界には存在しません。
現在、個人の信用情報を取り扱う主な機関は、全国銀行個人信用情報センター、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シーです。
いずれも、個人の信用情報を登録し、会員である銀行やクレジット会社、百貨店等に提供しています。
ここで登録される情報とは、個人を識別するための情報(氏名・生年月日・住所など)や契約内容、支払状況(入金日、延滞の有無、完済日など)、そして破産や債務整理などの情報です。
 
つまり、この信用情報には、クレジットを利用する以上誰でも登録されますし、完済してもその事実は登録されるのですnull
そして、個人を識別するための情報とは、あくまで当事者本人であって、家族の情報はむやみに登録されません(ただし、家族が保証人になっている場合や、無収入の方が家族の同意を得てローンを利用する場合は別です)。
ましてや、未成年の子供の有無まで登録されてはいないのです!!
 
そして、情報については、情報の性質に応じて登録期間が定められており、破産ですと、5年から10年です。
 
そうしますと、破産をすれば5年~10年の間は破産したという情報が登録され、クレジットカードを作ったり新たな借金はできません。しかし、それ以上に、破産した方だけが掲載された特別なリストに掲載されたり子供まで将来掲載されたりするわけではありません。
 
なお、平成16年の破産法改正前は、破産者の本籍地の市区町村役場に、裁判所から破産宣告の通知がなされ、市区町村にて「破産者名簿」が作成されていましたが、現在は、破産事件でも極稀なケース(破産の免責不許可決定が確定した場合など)しか、通知がされないようになりました(平成16.11.30 民三第113号 最高裁民事局長通達)。万一「破産者名簿」に掲載されても、この名簿は一般には公開されません。
 
以上のようなことから、破産には一定の不利益がありますが、破産にかかる情報について過度に神経質になることなく、生活の再建に向けて最も適切な手段を取ればよいと考えますきらきら
 
湘南茅ヶ崎法律事務所では、自己破産についてのご相談ご依頼も承っております四葉のクローバー
 

スモーキングガンーその証拠力

香取慎吾さん主演のドラマ『スモーキングガン』が始まっていますき
スモーキングガンとは、銃から立ちのぼる硝煙が発射の証拠となることから、「動かぬ証拠」や「確証」といった意味で使われる言葉ですね。
ドラマのサブタイトルも「決定的証拠」です。
確かに銃殺現場で、硝煙の立ちのぼる銃を所持していれば、殺害の重大な「証拠」となります。

「スモーキングガン」は、実際の裁判では、どのように位置づけられ、どんなことが問題となるのでしょうか。
指裁判上の証拠には、「直接証拠」と「間接証拠(状況証拠)」があります。
「直接証拠」とは、証拠によって証明しようとする事実(要証事実)を直接的に立証しようとする証拠です。
「拳銃を被害者に向けて撃ったのを見た!」というような犯罪現場の目撃証言などがこれにあたります。
間接証拠とは、要証事実を推認させる間接事実の証拠です。
「硝煙の立ちのぼる拳銃を持っていた」という事実は間接事実にあたり、それを見たという証言が「間接証拠」となります。
スモーキングガンは、間接証拠すなわち状況証拠にあたるわけです。
間接証拠の場合、要証事実を
どの程度立証するものであるかを、よく吟味しなければなりません。
これを証拠の証拠力とか証拠価値といいます。
スモーキングガンの場合、硝煙が立ち上る時間は短時間かと思いますので、まさに犯罪現場でそれを持っていれば、かなり証拠力は高くなるわけですが、その立ち位置や立っていた時の様子なども合わせて吟味されます。
 
そして、証言が本当にそのとおりかどうかは、「証拠の信用性」の問題です。
スモーキングガンを持っていたのが本当にその人だったのか、目撃者との距離、暗さ、何かの理由で嘘の証言をしている可能性がないか、などなど
四葉のクローバー
この「証拠力」と「証拠の信用性」が裁判の焦点になることが多いです。
 
実際の裁判を検討するにあたっては、今手にしている証拠が、何を証明しようとするものであって、どの程度の証拠力があるのかをよく見極める必要があります。
ただ、これらを自己診断してしまう前に、弁護士にご相談頂ければ!と思います。